現地レポート <From インド/ムンバイ>

インドのオンラインショッピング動向レポートA

前回はオンラインショッピングの可能性について言及した。2回目の今回は、インドのEコマース市場の実情を追っていくと同時に、今後の可能性について考えていけたらと思う。

さて、インドの人たちはオンラインで一体何を購入しているのだろうか。例えばオンラインで購入できる代表的なものとしては、書籍や衣服、コンピュータハードウェア・ソフトウェア、電子機器、ヘルスケア製品が挙げられるだろう。またモノ以外では航空券の手配はじめ旅行の予約、有料コンテンツの購読、ゲームなどデジタルコンテンツのダウンロード、広告の掲載などがオンライン取引(広義にはEコマース)で扱われている。

インドインターネット・携帯電話協会(Internet and Mobile Association of India:IAMAI)などが発表している2008年のオンラインショッピング(Eコマース)市場動向調査報告書によれば、インドのオンライン市場では旅行業の売り上げがトップで、およそ700億ルピー(2010年3月現在1ルピー2円ほど)であった。続いて小売が110.5億ルピー、広告82億ルピー、有料コンテンツが30億ルピー、ダウンロードが25.5ルピーと続く。「オンラインでモノを買ったことはないけど、航空券の予約はいつでもオンラインだ」という人が多いことを裏付ける数値である。ちなみにインド国鉄でもオンラインで切符の予約から購入までできるようになっている。

また筆者の経験に基づく個人的見解では、体系的データが入手しにくいインドにおいて、海外系を含むインドの調査会社が一式数千〜数万ルピー程度で販売している各種調査レポートなどは、特に海外の企業に手堅く売れているものと見ている。こうした需要を早々に睨み、優秀な人材を安く確保できる利点を活かした調査専門会社が、筆者の住むプネでも急増しているからだ。

最も利用されているオンラインショッピングサイトは世界最大のオークションサイト、イーベイのインド版(eBay:http://www.ebay.in/)だ。この他、インド国内でトップアクセスを集めるオンラインサイトの代表的なもの10件を以下に示してみる(順不同)。

インド小売最大手が運営するオンラインショップ

1 http://www.futurebazaar.com/ 小売最大手による総合オンラインショッピングモール
2 http://www.shopping.indiatimes.com/ 全国版の新聞社が提供するオンラインモール
3 http://shopping.sify.com/ IT系情報ポータルが運営するオンラインモール
4 http://shopping.rediff.com/ 有力情報ポータル運営のオンラインモール
5 http://www.homeshop18.com/ テレビショッピングチャンネル提供のオンラインモール
6 http://www.indiaplaza.in/ インド資本ショッピングモール
7 http://www.naaptol.com/ ガジェット系が充実
8 http://www.infibeam.com/ ディスカウントが盛ん
9 http://www.gadgets.in ガジェット系ディスカウント
10 http://www.vishalmegamart.com/ 主婦層向けモール。安売りも充実。

日本のショッピングサイトは折に触れよく利用しているがインドの方はとんと利用したことがなかった筆者。上記に一覧したショッピングサイトと、そこで売られている品々をざっと眺めてみると、商品も割と見やすくレイアウトされ、しかもインドの「旬」を素早く商品に採り入れていることに感心した。例えば誰かにちょっとしたプレゼントをしたい時や、自宅でのんびりとモノを選びたい時には、利用してみようかなとすら思える。筆者がノドから手が出るほど欲しくて、プネではどこを探しても手に入らなかった最新版のiPhoneも売っているではないか。

プネの慢性的な交通渋滞

実は在住6年になる筆者にとってすら、インドでの買い物は目的地への移動(現地交通手段の乏しさ)から始まり値切り交渉、炎天下をうろうろする体力が必要だ。欲しい物を求めて市内を端から端まで大行脚せねばならないこともある。また冷房の効いたショッピングモールでも、店員さんの効率が悪いと、せっかくの休日に大混雑の中、長蛇の列で待たされる(割り込まれる)羽目になるなど、買い物は疲れることが多い。正直に言って、たっぷり時間がある時でないと、買い物へ行く気が起きない。

そう、小売業が未成熟の巨大市場インドだからこそ、今、日本の素晴らしいサービスを比較的安価かつ容易に注入できるオンラインビジネスを始める好機なのではないか。ネックになっている配送部分については、例えばクロネコヤマトが中国に進出したように、日本の宅配業者とタイアップしてインドに配送ネットワークを築けばよい。スーパーマーケットのスビークシャ(Subhiksha)は、農村を含む400の市町村へ配送するシステムを整え、お店の延長として食料品や日用雑貨類が購入できるオンラインショップを開店した。配送システムを独自に築いて実現しているのだ。

インドは、これから20数年間は成長路線まっしぐらだろう。人々、特に購買力のあるミドルクラスの人口や収入も増える一方である。だがオンラインショッピングのメリットとして人々が最低限求めている、「1. 買い物に費やす時間と労力の短縮、2. 利便性、3. 安全性、4. 豊富な商品バラエティ、5. 買い得感(詳細な商品情報と、他社商品との比較)」、これら全ての条件を満たしたショップは、筆者の目には現在のところインドに存在しているようには見えない。日本の会社が本格的オンラインショップでインドに殴り込みをかけ、大成功する日を、期待を込めて待ちたい。



 
情報提供:ShimBi Computing Laboratories Private Limited.

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